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2017.01.30

その他

【本日発売!】アベンジャーズ:ラスト・ホワイト・イベント/ヘルボーイ:地獄の花嫁(1月30日刊行)

今回は本日2017年1月30日発売の新刊『アベンジャーズ:ラスト・ホワイト・イベント』『ヘルボーイ:地獄の花嫁』の2冊をご紹介いたします!

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価格 2,700円+税
ライター ジョナサン・ヒックマン
アーティスト ダスティン・ウィーバー/マイク・デオダート
翻訳 秋友克也


アベンジャーズ新シリーズ第2弾!

『AVX』後のリランチ「マーベルNOW!」で、チームメンバーが再編成され、20人弱の大人数となったアベンジャーズ。『アベンジャーズ:アベンジャーズ・ワールド』に続くシリーズ第2弾がこの『アベンジャーズ:ラスト・ホワイト・イベント』です。

火星を訪れた宇宙の<建設者>ビルダーズの尖兵エクス・ニヒロとその妹アビス。彼らが地球の数カ所に向けて放った「創世爆弾(オリジン・ボム)」によって始まったのは、地球の生命活動の根幹を変化させ、異なるものへと進化させる再創造でした。

その一方、ビルダーズのシステムによって、世界に変革をもたらす“白い事象”が発現。しかし壊れたシステムは、ひとりの冴えない大学生ケビン・コナーに、惑星防衛システム「スターブランド」の力を与えてしまいます。

アベンジャーズは力を暴走させるケビンをなんとか抑え、世界各地で起こる異変に対応しようとしますが……。

本格SFの趣きたっぷりの新シリーズは、この後『ニューアベンジャーズ:エブリシング・ダイ』(既刊)のストーリーとも交錯し、リランチ後のアベンジャーズ誌では初のクロスオーバー『インフィニティ』(本年刊行予定)へとなだれ込み、怒濤の展開を見せていきます。

時系列としては、『アベンジャーズ:ワールド』→『ニューアベンジャーズ:エブリシング・ダイ』→『アベンジャーズ:ラスト・ホワイト・イベント』→『インフィニティ』となっています。

ニューアベンジャーズ誌との併読で、宇宙規模の大スケールをもって描かれるアベンジャーズの大活躍を、目一杯堪能しましょう!


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価格 3,100円+税
ライター マイク・ミニョーラ
アーティスト リチャード・コーベン/スコット・ハンプトン/ケビン・ノーラン/マイク・ミニョーラ
翻訳 今井亮一

ミニョーラの想像力が炸裂する短篇集!

マイク・ミニョーラの看板シリーズ『ヘルボーイ』。これまで各国の神話や民話、オカルト、SFなど多岐にわたるテーマを、ヘルボーイという魅力的なキャラクターを通して描いてきたミニョーラが、彼個人の愛するアーティストたちを集めて作った短篇集が、『ヘルボーイ:地獄の花嫁』です。

全6編中、3編を手がけているのは、アイズナー賞を受賞した『ヘルボーイ:捻じくれた男』でもアーティストを務め、シリーズの準レギュラーとなっているベテラン、リチャード・コーベン。

『ヘルボーイ・イン・メキシコ 酔生夢譚』『邪なる二本立て』、そして表題作『地獄の花嫁』を描いています。

そしてミニョーラ自身が「描くのが怖かったのかもしれない」と語る女吸血鬼の物語『眠れる者と死せる者』を手がけるのは、スコット・ハンプトン。『バットマン:ナイトクライ』や、マジック・ザ・ギャザリングのイラストなどでも知られる実力者です。

今回、ミニョーラ本人が手がけるのは『ウッティア家の遺産』。元はなんと『USAトゥデイ』のウェブコミックとして描かれたものでした。

そしてトリをつとめる最終話『バクスター・オークリー、願いを叶える』を手がけるのは、「アーティストが憧れるアーティスト」にして、ミニョーラのマーベル時代の同期とも言える、ケビン・ノーラン。宇宙人とUFOという、ヘルボーイとしては珍しい題材を、すばらしい筆力で描ききっています。

ルチャリブレ、呪いの屋敷、十字軍、吸血鬼、UFOなど、「王道もの」から「変わり種」まで、バラエティ豊かなラインナップで、『ヘルボーイ:捻じくれた男』と並び、ミニョーラならではのキッチュなアメリカン・ゴシックテイストを堪能できる一冊です。

2016.12.15

その他

『スター・ウォーズ・コミックシリーズガイド』配布開始(ダウンロードもできます!)

ヴィレッジブックス刊行のスター・ウォーズ関連タイトルを網羅した
『スター・ウォーズ・コミックシリーズガイド』を作成しました!

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コミック、小説、アートブックなど多岐に渡る刊行物の、
それぞれのシリーズや特徴、見どころをまとめた作品紹介をはじめ、
登場人物紹介、映画本編と合わせた時系列がわかるタイムライン表など
充実の内容でスター・ウォーズ"正史(カノン)"のサブストーリー世界がわかる一冊となっております。

もちろん「無料」です!

下記の書店さまにてGETできます!

またお近くに該当書店がない方は、
以下のPDFデータ版をぜひご活用ください。




<配布書店>

北海道
ジュンク堂書店 旭川店

宮城県
喜久屋書店 仙台店

山形県
戸田書店 三川店
くまざわ書店 山形店

茨城県
富士書店 つくば店

栃木県
喜久屋書店 宇都宮店

群馬県
紀伊國屋書店 前橋店
ヴィレッジヴァンガードイオンモール太田店
ヴィレッジヴァンガードイオンモール高崎店

埼玉県
ヴィレッジヴァンガードアリオ川口店
BookDepot書楽
ヴィレッジヴァンガード ウニクス上里店
ジュンク堂書店 大宮高島屋店

東京都
紀伊國屋書店 新宿本店
SHIBUYA TSUTAYA
書泉ブックタワー
書泉グランデ
ジュンク堂書店 池袋本店
丸善 丸の内本店
オリオン書房 ノルテ店
K-BOOKS秋葉原新館
ブックスルーエ
三省堂書店 池袋本店
芳林堂書店 高田馬場店
明正堂 アトレ上野店
ブックエキスプレス エキュート上野店
コミックプラザ×アニメイト
くまざわ書店 八王子店 コミック・ビーワン
ブックファースト 新宿店
有隣堂 ヨドバシAKIBA店
三省堂書店 神保町本店
リブロ 吉祥寺店
コミック高岡
ヴィレッジヴァンガード 三軒茶屋店
STORY STORY
COMIC ZIN 新宿店
文教堂書店 二子玉川店
丸善 お茶の水店
あおい書店 中野本店
真光書店 本店
三省堂書店 アトレ秋葉原1
オリオン書房 ルミネ店
ヴィレッジヴァンガード 下北沢
ジュンク堂書店 大泉学園店
今野書店 コミック店
啓文堂書店 府中店
NET21恭文堂コミッククラフト店
ジュンク堂書店 吉祥寺店
オリオン書房 アレア店
ヴィレッジヴァンガード 立川ルミネ店
ジュンク堂書店 立川高島屋店

千葉県
丸善 津田沼店
三省堂書店 カルチャーステーション千葉
ときわ書房 本店
ジュンク堂書店柏モディ店
住吉書房 シャポー市川店
くまざわ書店 モラージュ柏店

神奈川県
有隣堂 コミック王国横浜駅西口店
丸善 ラゾーナ川崎店
紀伊國屋書店 ららぽーと横浜店
有隣堂 藤沢店
三省堂書店 海老名店
丸善 横浜ポルタ店
有隣堂 厚木店
ヴィレッジヴァンガード 横浜ルミネ店
伊勢原書店 秦野店

長野県
文教堂 JOY松本店

新潟県
ジュンク堂書店 新潟店
知遊堂三条店
知遊堂 亀貝店

富山県
BOOKSなかだ 本店 コミックラボ
喜久屋書店 高岡店

静岡県
谷島屋 浜松本店
明屋書店 イケヤ高林店
ヴィレッジヴァンガードイオンモール富士宮

愛知県
三省堂書店 名古屋高島屋店
ジュンク堂書店 ロフト名古屋店
MARUZEN 名古屋本店
ヴィレッジヴァンガード 名古屋みなと店
カルコス 扶桑店
カルコス 一宮店
ヴィレッジヴァンガード 安城店
ヴィレッジヴァンガードイオンモール東浦店
カルコス 小牧店
ヴィレッジヴァンガード 刈谷店

岐阜県
カルコス 各務原店
カルコス 穂積店

滋賀県
VVイオンモール草津店

京都府
JQストア京都店
喜久屋書店 漫画館京都店
大垣書店 イオンモールKYOTO店

大阪府
ジュンク堂書店 難波店
MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店
紀伊國屋書店 梅田本店
わんだーらんど なんば店
ブックファースト コミックランド梅田店
ジュンク堂書店 大阪本店
喜久屋書店 漫画館阿倍野店
ハーベストヴィレッジ なんばパークス
ヴィレッジヴァンガードイオン喜連瓜破店

兵庫県
ジュンク堂書店 三宮店
ヴィレッジヴァンガード 神戸ハーバーランドumie
ジュンク堂書店 西宮店

岡山県
喜久屋書店 漫画館倉敷店

広島県
MARUZEN&ジュンク堂書店 広島店
ヴィレッジヴァンガード広島サンモール
啓文社 ポートプラザ店

鳥取県
ブックセンターコスモ 岩吉店

愛媛県
ジュンク堂書店 松山店
ヴィレッジヴァンガード エミフルMASAKI

香川県
宮脇書店 総本店

福岡県
TSUTAYA 福岡天神店
ジュンク堂書店 福岡店
丸善 博多店
積文館書店 本城店

宮崎県
ヴィレッジヴァンガード  宮崎MRT

鹿児島県
ジュンク堂書店 鹿児島店

沖縄県
ジュンク堂書店 那覇店

2016.04.12

その他

シリーズガイド【2016】配布開始(ダウンロードもできます!)

ヴィレッジブックスのアメリカンコミックス
シリーズガイド【2016年】版を作成しました!

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どの順番で読めばいいのかがわかるタイムライン表から、
スター・ウォーズコミックシリーズの解説など、充実の内容でお届けします。

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もちろん「無料」です!

通販限定タイトル「マーベルユニバース:シビル・ウォー」(4月)「ニューアベンジャーズ:イルミナティ」(5月)に事前予約していただいた方には商品に同梱してお送りします。

それ以外の方は、下記の書店さまにてGETできます!

ただお近くに該当書店がない読者の方もいらっしゃいますので、
以下にPDFデータ版もアップいたしました!ぜひご活用ください。


<配布書店>

宮城県
喜久屋書店 仙台店

山形県
戸田書店 三川店

群馬県
紀伊國屋書店 前橋店

埼玉県
ヴィレッジヴァンガード ウニクス上里店
ジュンク堂書店 大宮高島屋店

東京都
K-BOOKS秋葉原新館
SHIBUYA TSUTAYA
VV二子玉川ライズ
あおい書店 中野本店
ヴィレッジヴァンガード 下北沢
オリオン書房 アレア店
オリオン書房 ノルテ店
オリオン書房 ルミネ店
オリオン書房イオンモールむさし村山ミュー
くまざわ書店 八王子店 コミック・ビーワン
コミック高岡
三省堂書店 神保町本店
ジュンク堂書店 吉祥寺店
ジュンク堂書店 大泉学園店
ジュンク堂書店 池袋本店
ジュンク堂書店 立川高島屋店
タワーレコード 渋谷店
ブックエキスプレス エキュート上野店
ブックスルーエ
ブックファースト 新宿店
丸善 丸の内本店
リブロ 吉祥寺店
紀伊國屋書店 新宿南店
紀伊國屋書店 新宿本店
三省堂書店 アトレ秋葉原1
書泉グランデ
書泉ブックタワー
真光書店 本店
芳林堂書店 高田馬場店
芳林堂書店 コミックプラザ
明正堂 アトレ上野店

千葉県
丸善 津田沼店
ときわ書房 本店
三省堂書店 カルチャーステーション千葉

神奈川県
有隣堂 厚木店
ヴィレッジヴァンガード 横浜ルミネ店
あおい書店 横浜店
有隣堂 コミック王国横浜駅西口店
丸善 ラゾーナ川崎店
あおい書店 川崎駅前店

長野県
文教堂 JOY松本店

新潟県
知遊堂 亀貝店
ジュンク堂書店 新潟店

富山県
BOOKSなかだ 本店 コミックラボ

石川県
TSUTAYA 金沢店

静岡県
明屋書店 イケヤ高林店
谷島屋 呉服町本店

愛知県
カルコス 一宮店
ジュンク堂書店 ロフト名古屋店
三省堂書店 名古屋高島屋店

京都府
喜久屋書店 漫画館京都店

大阪府
わんだーらんど なんば店
喜久屋書店 漫画館阿倍野店
MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店
紀伊國屋書店 グランフロント大阪店
ジュンク堂書店 大阪本店

岡山県
今城書店
喜久屋書店 漫画館倉敷店

広島県
フタバ図書 TERA広島府中店
MARUZEN&ジュンク堂書店 広島店

鳥取県
ブックセンターコスモ 岩吉店

福岡県
TSUTAYA 福岡天神店
ジュンク堂書店 福岡店
積文館書店 本城店
ブックセンタークエスト 小倉本店

大分県
ジュンク堂書店 大分店

鹿児島県
ジュンク堂書店 天文館店
ジュンク堂書店 鹿児島店

2015.12.22

その他

【石井誠のアメコミレビュー】ヘルボーイ:捻じくれた男

2013年に発売された『ヘルボーイ:疾風怒濤』(ヴィレッジブックス刊)によって、『ヘルボーイ:闇が呼ぶ』(JIVE刊)、『ヘルボーイ:百鬼夜行』(JIVE刊)に続く3部作が完結し、『ヘルボーイ』の長編シリーズがひと段落しました。ファンとしては次なる展開が気になって仕方がない状況の中、『ヘルボーイ』の最新作は長編シリーズではなく、久々の短編集として『ヘルボーイ:捻くれた男』が発売となりました。

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ヘルボーイシリーズの長編と短編の違い

『ヘルボーイ』シリーズのファンならご存知の方も多いと思いますが、『ヘルボーイ』シリーズは大きくわけて2つのラインで出版されています。

ひとつが、現在を舞台とした長編シリーズ。作品の発売年と作中のそれが一緒になっています。つまり、2012年に発売されたものは、作中でも2012年が舞台となっており、ストーリーも繋がっています。

もうひとつが短編シリーズです。こちらは、舞台となる年代や国も作品ごとに異なる上、現在ではなく、過去の物語が描かれているのが特徴です。

『ヘルボーイ』の短編シリーズはこれまで『ヘルボーイ:縛られた棺』(小学館集英社プロダクション刊「ヘルボーイ:弐」に収録)と『ヘルボーイ:プラハの吸血鬼』(JIVE刊)の2冊が刊行されていて、今回の『捻じくれた男』は短編集としては3冊目となります。

短編シリーズでは、ヘルボーイが世界各地を旅して、さまざまな超常現象に出会います。物語自体もコンパクトで、長編シリーズとは違った物語の多様さが楽しめるのも魅力です。

『ヘルボーイ:捻じくれた男』は、標題作を含め4作品が収録されています。それぞれについて簡単な解説をしていきましょう。

1:捻じくれた男
舞台となるのは1958年のアメリカのアパラチア山脈。人が分け入ることのないような広大な山林を舞台に、山岳地帯に伝わる民間伝承をベースに物語は作られています。

山岳部の民家で、少女が意識不明のまま倒れていました。彼女の胸には奇妙な傷あとがあり、すぐそばで魔女の呪いが込められた呪術道具である「ウィッチボール」が発見されます。少女の様子と状況から、魔女の仕業と考えたヘルボーイの前に、犯人と思われる魔女に心当たりのある男、トム・フェレルが現れます。二人が魔女を追う道中、トムはかつて自分が出会った「捻じくれた男」と呼ばれる悪魔について話し始めました。

中編と呼べるほどのページ数と、読み応えのある内容のある本作は、ヘルボーイとトムが体験する、魔女と悪魔を巡るひと晩の出来事が描かれていきます。舞台となるアパラチア山脈は、あらゆるものを拒絶するような陰鬱な閉塞感に包まれています。本作はストーリーをマイク・ミニョーラが、画はリチャード・コーベンが手がけています。コーベンのアートによって、不気味で近寄りがたい雰囲気が強調され、アメリカン・ゴシックな世界に読者は引き込まれていきます。アイズナー賞を受賞したのも納得の1作、アメコミファンならば一読の価値はある作品であることは間違いありません。

2:船に乗り込み海に出る奴ら
『捻じくれた男』に続いて、こちらもアメリカ本土が舞台となっています。1986年、マサチューセッツ州の骨董屋である男が見つけた奇妙なドクロ。それは、海賊の中でも悪名高い「黒ひげ」の頭蓋骨でした。悪行の末に断首されて死んだ黒ひげの亡霊は、今でも自身の首を探し続けており、男は海賊の呪いによって亡霊の待つ海へと向かいます。情報を入手したヘルボーイも、その地へと足を踏み入れます

アートを担当するのは、ジェイソン・ショーン・アレクサンダー。荒々しい劇画風のタッチによって、呪われた海賊を巡る物語に独特の力強さを加えています。本作には、ヘルボーイの相棒である水棲人間のエイブ・サピエンも久しぶりに登場。シリーズファンにはちょっと嬉しい仕上がりになっています。

3:モロクの礼拝堂にて
1992年の南ポルトガルを舞台にした1作。古い礼拝堂で創作活動に励んでいた画家が、悪魔を思わせる絵画や彫刻を作り始めたことをいぶかしんだ画家の友人は、超常現象調査局に調査を依頼。ヘルボーイがその真実を暴く…という物語です。

本作の注目したい点は、ミニョーラ本人がアートも手掛けているところです。近年の『ヘルボーイ』シリーズでは、ミニョーラはストーリーのみを担当し、アートを他のアーティストに任せていたため、ミニョーラのヘルボーイのアートワークが久々に楽しめる貴重な作品です。礼拝堂の中だけで展開する、「影」が重要な意味を持つ本作は、ミニョーラ独特の陰影のコントラストを強めにしたタッチがものすごくマッチしています。

4:ほくろ
ラストを飾るのは2008年のイングランドを舞台とした物語です。死人とカードをするヘルボーイは、自身の左手にある奇妙なほくろの存在を指摘されます。見てみると、そのほくろは急にふくらみはじめ、ヘルボーイの身体に異変が起こるのですが…。

本作は、『ヘルボーイ:闇が呼ぶ』の前日譚という位置づけになっています。アートを担当したのは、『ヘルボーイ:闇が呼ぶ』からはじまる3部作の作画を手がけたダンカン・フィグレド。「短編」というよりも「掌編」と呼んだ方がいいほどの非常に短いストーリーなので、これ以上解説するとネタバレになってしまいます。『ヘルボーイ:闇が呼ぶ』のプロローグとして、併せて読んでもらいたい作品です。

『ヘルボーイ』シリーズ久々の新作にして、気軽に読むことができる短編集である本作。アイズナー賞受賞作『捻じくれた男』やミニョーラのアートの魅力を久々に味わえる『モロクの礼拝堂にて』といった注目作が収録されている、満足度の高い、シリーズファンなら間違いなく楽しめる1冊となっています。
text 石井誠(ライター)

2015.08.17

その他

ヒーローは一度死んでやっと一人前?
【特別対談】中島かずき×石川裕人(後編)

前編はこちら)

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なぜヨーロッパからヒーローは生まれないのか?

中島 『クライシス』には、外国出身のヒーローが出て来ますが、80年代は、そうした世界各国のヒーローはいっぱいいたんでしょうか。

石川 この時期、海外のヒーローが増えてきましたね。たとえば、ゴルバチョフが登場した時期に、悪の帝国のようだったソ連のイメージが少し良くなってきたんですが、そこからロシアのキャラクターが出てきました。『クライシス』には日本人のキャラクターは何人か出ているんですが、なぜか中国人のキャラは一人もいないんですよ。当時、日本に興味があったのだと思うんですね。実際に、日本のヒーロー作品をアメリカで放映することはよくありましたが、日本以外の国のそうした作品を制作することはほとんどなかったんです。ドイツ出身のヒーローなんて聞いたこともないですよね。イギリスには『サンダーバード』などもありますが、50年経った今でも『サンダーバード』。結局、子供向けの作品を作り続けてきたのは、日本とアメリカだけなんです。ただ、日本には、昔からチャンバラみたいな子供文化もありましたから理解できるんですが、ヨーロッパでは子供は「半分人間」くらいの扱いなので、子供に対して真面目に何かを作るという土壌がないんですよね。それが、ヨーロッパをルーツに持つアメリカでは事情が違うのか、不思議です。以前にDCコミックスの人に、「どうしてヨーロッパからキャラクターが生まれないのか」と聞いたことがあるんですが、彼は「うちらが作ってるからね」と答えましたね(笑)。

中島 ざっくりとしたアメリカらしい返答ですね(笑)。

1回死なないとヒーローとして一人前になれない?

中島 『クライシス』のカバーでは、スーパーガールとワンダーウーマンがともに大きく扱われていますが、劇中での死に方はずいぶん違いましたよね。スーパーガールの死はドラマチックに描かれるのに、ワンダーウーマンは「これで終わり?」という死に方でした。

石川 そうした描写は、編集の意向で決められているんだと思います。まず、その号をいかに盛り上げるか、ということを考えているはずです。ワンダーウーマンは、この直後に新シリーズが始まるので、それが始まる前に身辺を綺麗にしておこうということだったんでしょう。スーパーガールはこの後20年以上復活しなかったので、これだけのことをしたのだから、そんなに簡単には復活させないということだったのかもしれません。

中島 スーパーマンが劇中で死ぬのは、『クライシス』の何年かあとですよね。

石川 7、8年後ですね。アメコミ界は、マーベルとDCが2大巨頭体制だったのが、『クライシス』のしばらく後に、イメージコミックスの『スポーン』が大ヒットして、DCの地位を脅かしはじめたんです。そこで、それに対抗するためにスーパーマンの死という衝撃的な展開を用意した。まさか誰もスーパーマンが死ぬとは思わなかったですからね。一般のニュースになるほどの反響がありました。ただし、このあたりから、「ヒーローの死」に対して作り手が味をしめてしまうんです(笑)。「1回死なないとヒーローとして一人前になれない」なんていうことも言われるようになりましたから。

中島 酷いですね(笑)。スーパーマンを蘇らせるときはどうやったんでしたっけ?

石川 死んだ後に4人の自称「スーパーマン」が活躍を始めるんです。読者はその中の一人が本物だと思っていたんですが、結局みんな別人で、本物は回復チェンバーの中で生きていたという話です。4人のうちのだれが本物か、と読者の興味をひきつけておいて、4つのシリーズを読者に買わせるというDCの戦略ですね。

中島 アメコミは「初心者が入れない」ということがよく言われますよね。世界観が複雑すぎて、映画で興味をもっても、どこから読み始めたらいいんだろうとなります。

石川 おっしゃる通りですね。ただマーベルやDCは、映画は映画、コミックはコミックを楽しんでくださいというスタンスな気がします。これまでも映画での人気をコミックスにも波及させようと、世界観をリセットしたりということをやってきました。でも、アメコミの面白さって、それまでの何十年の歴史の重みが面白さなんです。新しいスパイダーマンを作っても、それまで歴史を積み重ねてきたスパイダーマンにはどうしても勝てない。まるっきり新しいキャラクターを作るのならいいのかもしれませんが、それだとまたDCとマーベルでやる理由がないですしね。
 そういうコミック独自の手法が続けられるのは、もしそのコミック作品が人気が出なくても、映画とは違って、ビジネス的にそれほど大きなダメージにならないからですね。ただ、『仮面ライダー』といった日本のヒーローは、本当にいろいろなビジネスを背負っていますからね。作品が外れるとおもちゃも売れなくなる。アメコミヒーローと日本のヒーローは、立場が全然違いますよね。

『パワーレンジャー』的なヒーローチームがアメコミにいない理由

石川 アメリカの戦隊もの『パワーレンジャー』はもう20年以上続いているんですが、アメコミにはああいうキャラクターはいないんです。「同じ型のスーツを着ていて、各自の色が違うチーム」というフォーマットでこれだけ続いているなら、やってもいいと思うんですが、アメコミではなぜか同じ服を着ているヒーローチームってほとんどいません。『ファンタスティック・フォー』がちょっとやっているくらいです。作り手に何か意地でもあるのか、日本から来たものだからそれをそのまま取り入れたくないのか…。昔、マーベルが『パワーレンジャー』のコミックを出していた時期も実はあったんですが、広がらなかったんです。内容が本当に子供向けだったのと、その時には子供が漫画を読まなかったということもありますが。

中島 均一化したものよりも、個性があるほうが受け入れられやすいんでしょうか。

石川 同じユニフォームを、軍隊や警察といったイメージで捉えているのかもしれません。同じユニフォームということでいうと、アメコミには「戦闘員」のような、その他大勢の悪役もいますが、ただやられるだけではなくて、たまにそうした人たちの日常も描かれるんです。普通にやられるだけのキャラクターは、アメリカでは人気がありませんね。

中島 確かに日本の時代劇のように最後にやって来て、主人公に斬られるだけの悪役ってあまりいませんよね。アメコミだと悪党が4、5人いても、一人ひとりに名前があって、その他大勢というふうにはなっていない。

『クライシス』はアメコミの何を変えたのか

中島 『クライシス』の後でヒーローの描かれ方はどう変わったのでしょうか。

石川 『クライシス』のあとに登場した『ウォッチメン』や先ほど話に出た『ダークナイト・リターンズ』以降、ヒーローの描かれ方は大きく変わったように思います。『ウォッチメン』の新しさは、こういうテーマのヒーローコミックもできるのかという点です。その後、作り手がみんながこうしたテーマ性をもった作品を真似て作るようになりましたから、『ウォッチメン』は、それ以後のアメコミのプロットに大きな影響を与えました。
『ダークナイト・リターンズ』は、ストーリーももちろん、アート面での描かれ方を変えました。DCの大看板のバットマンをこんなワイルドに描いていいのかという驚きが当時はあって、それまでは「きれいでかっこいい」バットマンしか見たことがなかったですから、ああいうもはや人間なのかわからないような顔をしたのがOKだということで、これもその後のアートに影響を与えました。

中島 この2作品はアメコミの中では「変化球」だと思うのですが、こうしたものはたまにやるから輝いていたのに、それが主流になってしまうのはどうだろうという気もしますね。

石川 変化球があまりに面白かったですからね。こうなってしまったことは仕方ない気もします。というのも、昔ながらのコミックを、あの作品の後で作れって言うほうが可哀想だからです。ですからこの2作は、アメコミでは一つの区切りになっているんですね。日本の場合だと、漫画やアニメでそうした転換があったのは、82年の『超時空要塞マクロス』くらいからだと思っています。それは、この時期から、アニメで育ったマニア世代が、見る側から作る側に回っているからなんです。

日米ヒーローはここが違う

中島 いまは毎月邦訳アメコミが出版されて、自分の好きなキャプテン・アメリカもいくつか出版されました。日本で読めるとは思ってなかったので幸せですね。キャプテン・アメリカって国旗を衣装としてまとっている、政治的なキャラクターです。こうしたキャラクターって実は日本にはいないんです。向こうのヒーローって国家、政治をテーマにした話をちゃんとやりますよね。日米ではその視点がかなり違うと思います。日本は、自分とは何なのかということがテーマになりがちです。

石川 悪の描き方が違いますね。アメコミでは具体的に犯罪者として描かれますが、日本では犯罪者というより「怪人」として描かれる。

中島 世界を征服すると言っているけれど、何を征服するのかわからない人たちがやってきて破壊活動をしているんですね。でもアメコミだと、企業を経営したり、権力をもって国を揺さぶったりと、現実的な攻撃をしてきます。あとは、多くの場合、ヒーローが敵を殺さない。基本的には捕まえて逮捕して終わりです。

石川 ただしコミックだと殺さないけれど、映画だと死ぬんです。ヒーローが手を下さなくても勝手に高いところから落ちて死んだり。やっぱりコミックのほうは、子供の文化から始まっているから、ヒーローが人を殺すのはどうかという考え方があるのかもしれません。個人的には、性の描写も含めて、そういう足枷から完全に外れたアメコミがどうなるのか、ちょっと見てみたいですね。

(構成:石井誠)

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ドクター・ストレンジ:ウェイ・オブ・ウィアード

ジェイソン・アーロン=著

クリス・バチャロ=絵

御代しおり=翻訳

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