ヴィレッジブックスのアメリカンコミックス情報サイト

2016.05.12

マーベル・コミックス

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と
コミック版『シビル・ウォー』 ――両作品の共通点とは?

ついに公開された、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)フェイズ3の第2作目となる『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(以下、『CW/CA』)。今回は、原作コミック『シビル・ウォー』との共通点や関連性を中心に解説していきます。

491275.jpg


















好評発売中!映画原作!

アメコミファンにとって『CW/CA』は、そのタイトルが発表された時から、期待と不安が入り混じった作品でした。ファンは、超人登録法を巡ってマーベル・ユニバースが真っ二つに分かれ、ヒーロー達が内戦を繰り広げるという原作のとてつもないスケール感を、果たしてどの程度映像化できるのかと考えていたからです。

結論から言ってしまえば、『CW/CA』は、さすがにスケール感こそ原作には及びませんが、原作でも描かれていたキャプテン・アメリカとアイアンマンの考え方の違いに、「友情」というテーマを加えることで、より多くの人が楽しめる作品になっていると思います。

「超人登録法」と「ソコヴィア協定」

ここからは、原作の要素が、映画ではどのように昇華されていったのかを、より詳しく解説をしていきます。

原作では、若いヒーローチームであるニューウォーリーアーズが、自分たちの活動を追うリアリティ番組の撮影中に、町に潜伏しているヴィランを攻撃するところから物語は始まります。しかし、この攻撃の際に反撃したヴィランが大爆発したことによって、コネチカット州のスタンフォード地区で、地域の住人600人を死亡した「スタンフォード事件」を起きてしまいます。大きな犠牲が出たことを受けて、これまでヒーローの持つ能力が政府によって管理されていなかったことが改めて問題視され、「超人登録法」が成立することになります。

一方、映画『CW/CA』では、アベンジャーズの数々の行動によって犠牲が出たことが問題視され、ヒーローを政府が管理する法案の提出につながっていきます。ニューヨークでのチタウリとの戦い(『アベンジャーズ』)からはじまり、ワシントンでのヘリキャリア3機が同時墜落する大事故(『キャプテン・アメリカ/ウインターソルジャー』)、そしてアベンジャーズが事件の原因を作ったとも言えるソコヴィアで地盤が浮上して市民に多数の犠牲が出た事件(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』)。これらの大事件は、スーパーヒーローが市民の脅威となりうる力を持っていることを証明してしまったのです。

『CW/CA』序盤で描かれる、ヒドラの生き残りであるクロスボーンズが起こした事件でも、アベンジャーズのわずかなミスの結果、市民の犠牲者を多数出してしまい、アベンジャーズは世間から強いバッシングを受けることになります。

アベンジャーズが成してきた「世界を救った」というような明るい面ではなく、活動の結果否応なく生じてしまった暗い面がこのようにクローズアップされた結果、アベンジャーズは政府に管理されるべきとの結論が下されてしまいます。それは、ソコヴィアでの事件を踏まえて「ソコヴィア協定」という形で、アベンジャーズのメンバーに政府の管理下に入ることを強制します。

キャプテン・アメリカとアイアンマン、それぞれの動機

原作のアイアンマンは、スタンフォード事件の被害者家族からの訴えを聞き、ヒーローを弾圧されるという最悪の状況になる前に、超人登録法に賛同し、登録されたヒーローとして活動すべきだと主張します。

一方、原作のキャプテン・アメリカは、政府がヒーローを管理するということは、その法案に賛成せず登録しないヒーローは、これまでヒーロー活動していたとしても、法に反しているために追われることになると考えます。見方を変えれば、政府にとって有益な行動をしていることを装えば、どんな危険な思想や計画を持っていても「ヒーロー」として認定されてしまうわけです。それを避けるためにも、ヒーローは政治とは切り離した存在でいる必要があるとキャプテン・アメリカは主張します。

そして、それぞれの主張に賛同するヒーローたちが、2つの派閥に別れて大規模な内戦へと発展するのです。

原作では、100人以上の超人が登場します。ただし全員が2つの派閥にきれいに分かれるわけではなく、中立的な立場を保持する者、寝返る者、スパイとして敵側の派閥に潜入する者、さらにはそれぞれの派閥に取り入ろうするヴィランなど、多数のキャラクターの行動が幾重にも重なることで、複雑かつ壮大なスケールのドラマが描かれていくことになります。

『CW/CA』が属するMCUの世界は、原作コミックスの世界に比べれば歴史も浅く、ヒーローの数も多くありません。そのため、「ソコヴィア協定」を巡るヒーロー同士の分裂は、主にアベンジャーズ内部の問題として描かれていくことになります。

『CW/CA』のアイアンマンは、自分のヒーロー活動が、結果的にはソコヴィアの事件を巻き起こしたことに心を痛め、登録することでヒーロー活動が続けられる大義名分が得られるのであれば、その道を選ぶべきと主張します。

一方のキャプテン・アメリカは、原作同様に協定に疑問を持ちます。前作『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』において自身が信用していたシールドという公的な組織が、ヒドラのメンバーの暗躍によって内部から崩壊したこと、そして現場を知らない人間が戦う相手を決めることが、大きな間違いにつながるのを知っていることから、彼は政府に判断を任せるのではなく、互いに信用する個人間で、誰が敵なのかを判断すべきと考えます。しかし一方では、世論の状況を見れば、登録もまた仕方なしとも考えていました。

そこで、協定への考え方がまったく違う二人の対立を、決定的にさせる事件が起こります。ソコヴィア協定が調印される場でテロ事件が発生し、その犯人がウインターソルジャーことバッキー・バーンズであることが大々的に報道されてしまうのです。協定に賛成してしまえば、自ら動いてバッキーを救えなくなると確信したキャプテン・アメリカは、バッキーを保護するために行動を開始します。

こうして、キャプテン・アメリカとバッキーの「友情」が、キャップとアイアンマンの対立を決定的なものとしてしまいます。

原作と映画、それぞれの衝撃の結末

ほかにも「友情」によって付く側を決める人物がいます。スティーブの友人でもあるファルコンはキャプテン・アメリカに協力し、トニーの旧友であるウォーマシンはアイアンマンに賛同します。

アイアンマンが作りだしたジャービスがベースになっているヴィジョンは合理的な判断として協定に賛成。ブラックウィドウも、何らかの意図があって賛成側に協力する意思を見せます。スカーレット・ウィッチは、自分を導いてくれたホークアイが反対側に付くことを知ると同じ道を選びます。

こうした状況に加え、新たなヒーローが参戦します。アントマンは、ファルコンとの出会いをきっかけに反対派に参加。そして今回が初お目見えとなるスパイダーマンは、賛成側に加わります。

ソコヴィア協定調印の会場で自分の父が犠牲となり、その犯人と目されるウインターソルジャーを追うブラックパンサーはアイアンマンに協力します。

こうして『CW/CA』でヒーロー達は分かれることになります。

ヒーロー同士が自らの能力を最大限に駆使して互いに戦う姿は本当にすばらしく、MCUシリーズ最高峰のアクションを観ることができます。そして、このヒーロー同士の戦いは、原作と映画それぞれの「衝撃の結末」が待っています。どちらも読む/観ていることで、「シビル・ウォー」という作品の魅力を、より深く味わうことができるはずです。

文:石井誠(ライター)

MENU

BACK NUMBER

ドクター・ストレンジ:ウェイ・オブ・ウィアード

ジェイソン・アーロン=著

クリス・バチャロ=絵

御代しおり=翻訳

NEW